芝の中のハマスゲの駆除方法
ハマスゲという雑草をご存知でしょうか。
刈り取っても抜いても生えてくる最強レベルの強さと言われる雑草です。
わたしは最初、この雑草がどれくらい厄介なものかを知らず放置しました。
芝の中に生えるハマスゲの葉はツヤツヤして光沢があり一見綺麗。
それがまさか芝を駆逐する勢いで増えるとは思いませんでした。
これが我が家の2018年8月に撮影した芝の中に生えたハマスゲです。

芝刈りをしても数日で写真のような感じで、もはや芝なのか、ハマスゲ畑なのかわからない状態でした。
その時に思いました。
グランドカバーこれでいいかなと。もうハマスゲがグランドカバーで良いんじゃなかろうかと。そう思ってしまうほど、刈り取っても抜いても生えてきました。
そしてわたしとハマスゲとの戦いがはじまりました。
ハマスゲ関連の論文をよみまくりました。 毎日起きている間中ハマスゲの論文を探して読み駆除方法を探しました。
雑草の論文って多い。
しかもハマスゲの論文は昔から多く発表されているようで、それだけ駆除方法に注目してる方が多い印象をうけました。
目次
ハマスゲとは
ハマスゲは別名コウブシ。カヤツリグサ科カヤツリグサ属の植物で地下にコブのような塊茎をもちます。
球根には、鱗茎(りんけい)、球茎 (きゅうけい)、塊茎(かいけい)、根茎(こんけい)、塊根(かいこん)と種類があって、
ハマスゲはそのうちの塊茎という種類になります。
塊茎は細い根のようなものを伸ばし、次の塊茎またその次の塊茎という風に地中でいくつもの塊茎を形成しています。
だから、1本抜いたところで、地中の中には沢山の塊茎を残していて、それが次々と萌芽します。
その塊茎は地中30センチからでも萌芽可能で、種子でも繁殖し、尚且つ塊茎でも繁殖し、そして多年草です。
そしてその繁殖速度はとても速く、一粒の塊茎から半年後には4㎡ほどまで広がり、数としては1000個を越える株数になるといいます。
これだけの繁殖力をもつため、畑や芝の中で見つけたときにすぐに周囲まで深く掘って撤去するなどの処置をしないと、しばらく見ない間に庭がハマスゲだらけになっていたということになります。
ハマスゲは、地上部分の刈り取りに対して強い体制がある
芝の中に生えた雑草についてよく言われるのが、芝と一緒に頻繁に低く刈り込めば、雑草の成長点より下を刈り込むことができるので、雑草を駆除できるという話です。
そのため芝は頻繁に刈り込みしましょうという理由のひとつです。
しかし、ハマスゲは芝刈では枯れません。
芝を低く刈り込んだ翌日には、もうすでにハマスゲだけが伸びており、ハマスゲの葉は芝より緑が濃く、艶がありよく目立つため、
むしろ芝刈する前より目立ってしまうくらいです。
1999年5月に発表された中野尚夫さんの論文によると、
ハマスゲを1年間に刈り取り回数2~3回、4~5回、6~8回という区画別けして6年間刈り取りし続けるということを行い観察したところ、年に6回~8回刈り込んだ区画でのみ、やっとハマスゲの減少がみられたとのことです。
このことからもわかるように、長い間高頻度で刈り込みをしてもハマスゲは完全に駆除することができず、地上部の刈り取りに対して強い耐性があります。
わたしも芝の中のハマスゲの存在には気付いていたものの、芝刈する度にハマスゲが増えていき、いったいこの雑草はなんだろう?と考えている間にあっという間に一面ハマスゲ畑ということになってしまいました。
ハマスゲは抜いても枯れない
ハマスゲは抜いても駆除できないです。
それはハマスゲの塊茎の特徴に理由があります。
絵に描いて説明しようと思ったら無駄にリアルで気持ち悪くてすみません。
イラストのようにハマスゲの塊茎は匍匐茎で地中で繋がっていて、地上に見えている葉の部分はハマスゲの一部にすぎないです。
以前ネットでハマスゲをピンセットで塊茎ごとつまんで抜くという方法をみつけ、なんて良いアイデアなんだろうと真似をしたことがあったのだが、全く減りませんでした。
たとえ地上部分のハマスゲを一本とひと粒の塊茎を抜いたところで、地面下では次の塊茎がスタンバイしているのだから当然といえば当然です。
本当にハマスゲを抜いてなんとかしようという方法は最初の1本くらいしか効果がないかもしれないです。
ハマスゲは抜いても駆除できない。
ハマスゲに除草剤のハケ塗りは効かない
芝を枯らさず雑草だけ枯らす除草剤は多くあるが、中でもMCPPとアージランは有名です。
それぞれ得意分野が違うので、混合して散布すると広い範囲の種類の雑草を駆除できるため、特に高麗芝のような日本芝にはこの方法を使う場合が多い(洋芝は除草剤が限られる)。
しかしハマスゲはどちらにも効果がありません。
芝を枯らさない除草剤はハマスゲも枯らさないのです。
本当にハマスゲは厄介。
他にもハマスゲのように芝の中に生えた雑草で、これらの除草剤が使えない場合、ピンポイントでグリホサート系の除草剤をハケ塗りする方法があります。
どんなに慎重にハケ塗りをしても周囲の芝に薬害を起こすため最終手段のような方法だが、ハマスゲにはこの方法も効きません。
本当に塗っても塗っても萌芽してしまい、芝への薬害の方が被害が大きくとても続けることができませんでした。
グリホサート系のハケ塗りは一本限りの雑草に向いていると思います。
わたしは、プリンターのインクを詰め替えるための注射器のようなものを購入し、ハマスゲの葉にピンポインとで薬剤を垂らす作戦も試みましたが、
結果は同じ惨敗でした。
長い戦いがまだまだ続きました。
ハマスゲの塊茎を除去してもハマスゲは枯れない
芝を一度はがして、下部の土を一度取り去りふるいにかけ、ハマスゲの根茎を取り出し再び芝を元に戻すという作業をしました。
我が家の芝は約5メートル×10メートルなのでおおよそ50㎡の広さになります。
いったいどれだけ暇なんだよ、という気の遠くなる作業でした。
結果、土嚢袋に5袋ほどの塊茎がとれました。
しかし結果は惨敗でした。
数日後すぐにハマスゲが萌芽し始めたのです。
夏の暑い中、すべてをハマスゲに捧げたのに、です。
それで、今度は1㎡ほど芝を剥ぎ取り、庭の土を一度浄化することにしました。
だいぶ深く掘り下げ土をすべて入れ替えました。
ところがです。
数日後・・・
新たにハマスゲが萌芽して、作業すべてなかったことになりました。
前述した通り、塊茎は地中30センチからでも萌芽可能であり、かなり深く掘り下げたつもりでしたが、想像以上に塊茎は地下深くに入り込んでおり、とてもすべての塊茎を除去することはできないとわかりました。
ハマスゲはこれで駆除できる
そんな中ある日やっとハマスゲを駆除できるものと出会えました。
フラザスルフロン水和剤のシバゲンDFだという除草剤です。
同じ効果があるものとしてインプールDFがあります。
どちらも芝に使える除草剤の中ではかなり高価です。
これらの除草剤の場合、地上部の葉を枯らし、その後に萌芽を押さえる効果があるらしく、散布後その年にハマスゲを見ることはありませんでした。
なんとも長い戦いの割にはあっけない終わり方であったし、何故最初にこの方法を試さなかったと思うますが、芝を育ててる人の中には、ハマスゲに頭を悩まし、やはり試行錯誤してこの除草剤にたどりつく方も多いようです。
その後、翌年にハマスゲが数本萌芽しました。
再び散布し、その後にはハマスゲの姿を確認していません。
注意点は、この除草剤は効果が現れるのがとても遅いです。
毎日観察していると全く効果がないようにすら思えるほど。
しかし忘れた頃に黄色くなりはじめ、それからは早く、完全に枯れて姿を消します。
必ず効果がありますので、間違って追い撒きをしないことが大事です。
参考:amazon
石原バイオサイエンス シバゲンDF 20g入 芝生用除草剤
石原バイオサイエンス シバゲンDF 20g入 芝生用除草剤
またシバゲンDFは除草効果のほかに予防効果もあるので1ヶ月~3ヶ月くらい他の雑草も生えてきません。