野菜の苗


 わたしは20年間家庭菜園をしています。

家庭菜園は、ベランダであったり、プランターであったりお庭の一角が畑であったり色々だと思いますが、別に畑をもっている場合を除きある程度限られた面積での作業になるかと思います。

そこで問題になってくるのが、狭いが故の連作障害土のリサイクルかと思います。 

 わたしは、庭の一角の畑とプランターを駆使して家庭菜園をしているのですが、20年間土の入れ替えを一切行っておらず、 土壌をうまく消毒しながら連作障害を起こさない工夫をしています。 

その中のひとつである土壌還元消毒について記述します。





土壌還元消毒とは


 土壌還元消毒とは、薬剤を使用せず土壌を消毒する方法のひとつです。 

 土壌に有機物を混入し、土壌を湛水させ、ビニールで密封状態をつくり微生物を急激に増加させる方法です。 

地温は急激に上昇するため、その高温になった状態をおそよ3週間保ち、土壌を急激に還元状態にするという仕組みになっています。 

その結果、酸素が必要な土壌病害虫が死滅し、連作障害などをおこす原因になっている土壌病害虫の増殖を抑えることができるため連作が可能となります。 

 この土壌還元消毒の有機物には、ふすまや米ぬかを使用するのですが、米ぬかの場合わりあい入手が容易であるため、わたしは家庭菜園の土壌還元消毒には米ぬかを使用しています。 

 土壌消毒の効果のほかにも、米ぬかは無料または安価で入手可能であること、そして薬剤を使用しないという点が狭い家庭菜園では大きなメリットとなります。




土壌還元消毒のメリットとデメリット


土壌還元消毒にもメリットとデメリットがあります。

土壌還元消毒のメリット

1.方法が容易である

土壌に有機物を投入し混ぜ合わせ、水を注いで湛水させビニールで覆うだけなので比較的容易である。

2.効果が極めて高い

20年間わたしの狭い家庭菜園の環境下で連作障害がおきていないことからも効果は認められる。

3.資材が安価である

資材である米ぬかは、殆どの場合コイン精米機などで無料もしくは安価で入手可能である。

4.還元状態になったことが確認できる

土壌還元消毒は、還元状態になった際に独特の臭いが出るため確認が容易である。

5.環境に優しい

薬剤を一切使用しないため、環境には非常にやさしい。土壌への薬剤の残留などの心配がいらない。
   

6.連作が可能となる

連作が行えることにより、狭い家庭菜園でも場所の確保が容易になる。

土壌還元消毒のデメリット

1.還元消毒の期間に約3週間、20日前後必要とする

その間、作付けができない。

2.ドブ臭がする

還元状態になった際に目安としてドブ臭がある。

3.湛水状態を維持できない場合がある

湛水とは、土壌が泥濘のような状態になっていることを言うため土壌によっては効果が弱くなる(砂地の場合水が素通りし湛水にしにくい、粘土質の場合は逆に水が引きにくい)。


次にデメリットを補う方法としてわたしが実際行っている方法です。

わたしが行っている効率的に土壌還元消毒する方法


 土壌を消毒する方法は一つではない(他の方法は後日別途記事にしたいと思います)。

 わたしもいくつかの方法を複合して行っており、わたしが、この土壌還元消毒を行うのは、特にナス科(トマト・ピーマン・なす等) のように連作障害が顕著に現れるのもに対して次の二つの方法で対策しています。 
 
 ひとつ目は、連作障害を起こしやすい作物の場合、プランターやバケツ栽培で隔離し、その隔離した部分のみに土壌還元消毒を行います。
バケツやプランターで栽培をすれば、水が抜けていくことがないため湛水させることが容易です。 
バケツで管理し、しっかりとビニールで密封するため臭い問題は殆ど解決します。
ベランダなどで栽培される方は、ビニール袋を何重にすることで管理可能だと思います。

土と米糠を混ぜあわせる
※ブルーシート等の上で土と米ぬかを混ぜあわせる。


土と米ぬかを混ぜ合わせたバケツをビニールでとめる

※バケツに水と土と米糠を混ぜあわせたものをいれ、紐でかたく結び3週間ほど放置。

 ふたつ目は、畑の場合作付けしてあった部分の周囲の土を広めに取り除き、その部分だけ既に消毒済みの土と入れ替えた上で、 念のために畑全体を日光消毒など他の方法で全体的に消毒します。

バケツに土を入れる

※トマトなど作付けしてあった周りの土を広めに掘ってバケツに入れて消毒する。

そして、その広めに取り除いた部分の土をバケツに投入し、同じ要領で還元消毒し次回作付け分のリサイクル土として管理します。

ちなみにバケツは100均で大きいものを購入し10個ほど用意しています。



まとめ


 この消毒方法は、青枯病、センチュウ、ねこぶ病などへの効果があるとされています。
もちろん他のことも併用して気をつけていることもありますが、20年間これらの病気で悩まされたことはありません。

 わたしの場合、決して広いとは言えない庭の一角の畑とプランターで、年間消費する野菜の8割くらいをまかなえています。
 
 夏の間はむしろ収穫量が消費量を上回るため、冷凍保存や加工するなどして、冬のあまり収穫できない時期に備える感じす。 

 家庭菜園をする理由としては、もちろん1番に楽しいからという理由があるのですが、無農薬や最小限の薬剤の使用で自分の思うとおりの安全な野菜が作れるということ、そして家計にも優しいということは大きいと思います。 

 毎回新しい土を購入し古土は捨ててしまったり、土のリサイクル資材を購入して再利用する方も多いと思いますが、実際そうなると他の必要経費も併せれば、野菜は買った方が安いということになってしまうと思います。 

よく、「家庭菜園お金かかりますよね」と質問されることがあるのですが、わたしの場合は肥料や腐葉土、灰も自作し、 苗も種から育てているため、実際の経費といえば種代くらいしか必要ありません。 

 たとえ毎回新しい土を購入しようとも、楽しいということには変わりないので全く問題はないと思いますが、 古土も土壌還元消毒で土のリサイクルをすれば土にまで愛着が沸きます。

そしてなによりその工程がたまらなく楽しいです。

是非興味のある方は一度実践して欲しいと思います。