トマトのつぼみ


 
 自給自足に必要な土地の広さを計算するときに、正確な数字を出すことができる人はいないと思います。

理由として、家族の人数もそれぞれだし、みんな食べたい野菜も違えば、食べる量も違うからです。 
そして日本国内、北から南で気候も全く違うのだから栽培可能期間も異なり、収穫できる量も違ってきます。


 我が家の場合は暖地です。
大人二人分で計算して8割は自給できていると思いますが、条件があります。

 家庭菜園で自給自足に近いような野菜作りをする場合でも、まず庭で米は作れないし、小麦も作れない。
最近はバケツで稲を栽培することがブームになっていますが、バケツひとつで収穫できる目安量は茶碗半分ほどらしいです。 
バケツ3つ程栽培し、秋にはおにぎりを一つ作るというのも、それはそれで楽しいかもしれないが実用的とは言えないです。 

 我が家は米も小麦も作れないので野菜限定です。
夏は大量に収穫できて余らせてしまうし、冬は不足します。
夏に収穫しすぎてしまう分を保存して冬にまわし、冬は寒さに強い野菜と夏の野菜を保存したものを使います。
 
そういう条件付で8割という数字になります。 

別に広い庭でもなく、芝が大好きなので芝のスペースを減らすことは考えられないので、余っている部分を試行錯誤して畑にし、 プランター栽培・バケツ栽培・袋栽培も併用し駆使した上での数字です。

 よく言われるのが自給自足に必要な面積は大人二人で計算すると20坪でできるという説もあれば、100坪は最低必要だという説もあるが 我が家の場合は10坪とプランター類で事足りています。
10坪とは約33㎡になります。  

家庭菜園の土壌還元消毒で紹介した消毒方法で消毒し、常に遊んでいるスペースがない状態での数字です。 
ようするに土壌還元消毒で連作障害の問題をクリアした上での数字なので、かなりギリギリのところを責めているかとは思います。

人によっては、2メートル×2メートルの真四角の畑を4つに1㎡ずつに区画して輪作していき、栽培期間が長いものは一切つくらないという方法を実践している方もいます。 
この方法もなかなか魅力的で、わたしも近いうちに実験してみたいと思っています。


 10坪でも土壌還元消毒を駆使すると8割の野菜はまかなえるということを、日本の住宅事情にあてはめて計算してみます。 

 日本の住宅の平均敷地面積は260㎡、坪数でいうと約78坪で、 家の床面積の平均は132㎡の40坪弱ほどだそうです。 
家は平屋だったり、一部2階建てだったり、総2階だったり、あるいはそれ以上の階数だったりするため 平均建坪を出すのは難しいが、仮に総2階だったとして、平均建坪は66㎡の20坪弱くらいになります。 

260㎡(78坪)から建物建坪面積66㎡(20坪)を引くと残りが194㎡(58坪)。 

配置図



そこから車2台分の駐車スペースとアプローチ分、隣地境界線から建物を離す分でロスする面積を最小限で計算すると合計が87㎡ほどになり約26坪。

そうすると、敷地面積260㎡(78坪)から、建物が建っている建坪66㎡(20坪)と駐車場などの分87㎡(26坪)を引いて庭を造ることができる面積を出すと、260-66-87=107㎡(約32坪)となり、32坪は庭を作ることが可能になる計算です。 

配置図



私が10坪で二人分の8割が可能になってることからすると、32坪すべて畑にすれば家族4人分くらいの野菜は余裕で作れそうです。

 実際は、32坪庭があったとしても、ウッドデッキを置いたり、テーブルと椅子を置いたり、洗濯物も干したい。 
シンボルツリーの1本、2本は植えたいでしょうし、芝も敷きたい人もいるので、全部を畑にするというのは、現実的ではないけれども、 これから庭で家庭菜園をしてみたいけど、自給自足はどれくらいの面積が必要なのだろうと思った時、目安になる数字ではないかと思います。 

 
 実際のところ私が仕事で庭を設計するときに、新築で家庭菜園をしてみたいから畑部分を作って欲しいと依頼されて、施工する面積は、だいたい1メートル×5メートルくらいで5㎡くらいの場合が一番多いです。 
うまく土壌を消毒しながら行えば、夫婦二人の年間の野菜消費量の1割くらいは栽培できそうです。

 これから家庭菜園をやってみたいと思う方は、どれくらい面積が確保できるか計算してみると面白いかもしれません。