芝
 


 2月の芝はまだ休眠状態なので、芝刈などの作業は必要ない。
しかし、3月になれば新芽が出る季節になるので、2月のうちに行う芝の手入れとして雑草の除草作業が必要になってくる。





芝はまだ休眠しているからこそ、作業しやすいことがある。


 まだまだ寒い日も多い2月、芝はまだ休眠状態で薄い茶色のような色をしている。 

このような時期だからこそ、作業しやすいことがある。 

それは芝の中の雑草の除草作業。
芝が茶色であるために、緑色である雑草がとても見つけやすい。 
手作業で除草する場合も、除草剤を使う場合も3月に雑草の発芽予防を散布する前に今ある雑草は除草しておいた方が 今後の作業もとても楽になる。



ピンポイント除草


 2月は雑草がとても見つけやすいためにピンポイント除草で十分。 

2月に芝に生える雑草はそう多くなく、除草も難しくないものも多い。 
しかしスズメノカタビラのように放置すると大株になる雑草もあるので見つけ次第対策をした方が良い。 

2月に芝の中に生える雑草の種類 


スズメノカタビラ(イネ科)

スズメノカタビラ
 
 スズメノカタビラはイネ科の雑草であり、芝もイネ科の雑草であるため、芝対応のMCPPは効果がない。

成長するととても大株になり抜けにくくなるので、除草する場合は早めの対応が良い。 
芝対応の除草剤を使う場合はアージランで除草できる。 
アージランはすぐれた除草剤であり対応の幅は広いし比較的安価。 
ただし高麗芝や姫高麗芝のような日本芝にしか対応していないので芝の種類によっては注意が必要。 
アージランは効果が現れるのが遅いため、追い撒きしないように注意しなければならない。 
また、芝を除草剤で枯らしてしまう原因にアージランの希釈を間違えたということが非常に多い。
アージランは日本芝対応であるが、希釈を大きく間違えてしまったり炎天下の場合は薬害が出やすい。

日本芝以外の場合は、シバゲンDFでの対応になる。 


タンポポ・ハルノノゲシ(キク科)

タンポポ
 
 野山で見つければとても可愛らしい雑草であるが、庭で見つければ強く根を張り種を飛ばすために早めの除草が必要。 
タンポポもハルノノゲシもキク科の広葉雑草なのでMCPPで効果がある。 
MCPPは地中で分解される。
 除草剤を使わない場合は、タンポポは根を強く深く張り多年草であるため、上部のみ除草しても再び再生するので深めに掘り返すことが大切。 
よく似た雑草であるノボロギクも同じ対応でよい。 
タンポポのようなキク科の広葉雑草にはザイトロンの方が効果があるが、使用できる芝が日本芝に限定されるために、自分の家の芝の種類に自信がない場合はMCPPの方が安心。 
間違いなく高麗芝であればザイトロンの方が効果は高い。
MCPPは3日~くらいから比較的早く効果を確認できる。


チチコグサ・チチコグサモドキ(キク科)


チチコグサ
 
 チチコグサもチチコグサモドキも外見がとてもよく似ていて区別が難しいが対応は同じでよい。 
低い位置で葉を地面に沿って広げるので手で抜くことが困難。
チチコグサの根自体は強くないため少し尖ったもので除去すれば良いが、チチコグサの根は匐枝を横に広げ、あっという間に群生してしまい群生させてしまうと、とても除草が厄介になる。 

除草剤の効果がとても早く現れやすいので、MCPPをピンポイントで散布した方が早い。


カラスノエンドウ (マメ科)


カラスノエンドウ

 とても可愛らしい花が咲くカラスノエンドウ。
2月くらいから見ることができる3月くらいに紫色の花をつける。 

マメ科の越年草であるが、種が大量にできるために、放置しておくと芝が一面カラスノエンドウになる。 

繁殖力が強いわりには、手で簡単に除去することができる。 
除草剤を使う場合はザイトロンかMCPPで効果がある。 
タンポポと同じようにザイトロンは日本芝でしか使用できないために、芝種に自信がない場合はMCPPを使用する。



 
ポイント:
高麗芝・姫高麗芝の場合はMCPPとアージランの混合に展着剤を添加したものをピンポイントで使用すると良い。 ティフトンのような日本芝以外の場合はMCPPのみを使用し、イネ科の雑草のように対応していない種類には手作業での撤去が良い。 シバゲンDFは日本芝以外にも使用することが可能であるが、年間に3回までと使用制限があるため3月に雑草が本格化する前に除草と発芽予防の利点を活かして全体散布することが望ましく、ピンポイントの除草にはあまり用いられない。



余裕があれば芝焼する


 芝は3月くらいから新芽が出るため、この時期に芝焼する方法もある。 

昨年の芝の枯れた葉(サッチ)を除去したり、病害虫の卵を除去する作用もあるため芝の発芽促進効果のほかに病気の予防効果もある。 
ただし、地表の病害虫の卵の除去と、雑草の種を焼く効果しかないため、地中にあるものに対しては効果はない。
そのため、大きな効果としては芝の枯れた葉(サッチ)の除去を目的と考えた方が良い。
サッチの除去も芝の手入れの中で重要な項目の一つになる。

 また、火を使うために注意が必要であり密集した住宅地では難しい作業になり、芝焼できる品種は高麗芝や姫高麗芝のみとなる。
そして芝焼ができる期間は芝が休眠であることが条件であるため、暖かい年で新芽が動きはじめて早い場合はできない。
その場合、芝の様子を観察した上での作業となる。

芝焼する場合は風のない日を選び、消火用の水を用意し、ロングタイプのガスバーナーで行う。




もぐらの被害がある場合は消毒する


 庭にもぐらがいると、せっかく植えた野菜や花が朝起きたら掘り返されていたり、一晩で芝が無残な状態になっていたりする。 

忌避剤や駆除するための道具がいろいろ販売されているが、駆除はあまり気持ちのよい作業でとはいえない為にできれば 忌避していただきたい。 

 また錠剤の忌避剤も販売されているが、もぐらの本道を見つけることが必要であることと、雨が降れば効果に疑問が残る。

 芝にもぐらが出現する場合、芝の中に豊富に餌があることが予想できるため、餌になるミミズを駆除した方が早い。 
ミミズは土を柔らかくしてくれたり土壌改良してくれるとても有りがたい生物であるが芝にとっては迷惑な存在になる。 
またミミズは土壌の酸度も変えてしまうために、芝の病気の発生原因にもなる。

 ミミズがいるかどうかの目安はミミズ塚が発見しやすいために、塚があればミミズが多く生息する。 

ミミズの駆除には、スミチオンが手っ取り早い。
また根を食い荒らすコガネムシの幼虫やも併せて駆除できる。 
もぐらはとても大食漢であるため常に食べ物を探して移動しなければならず、何も食べない状態だと12時間が限界だと言われ、1日も耐えることができない。
そのため餌がなくなればもぐらも移動してくれる。 

もぐらを忌避させる植物として彼岸花がある。 どうしても薬剤を使いたくない場合は彼岸花を植えておく方法もある。



まとめ


 2月の作業は1日で作業が完了するくらいの量であるために、真夏の作業の多さに比べればとても楽な月になる。 

3月に美しい芝の新芽をみるためにも、1日時間を作って早い時期に芝の手入れ作業しておくことはとても大事。 
雑草は群生してしまう前に対処した方が結局年間通して作業数も減らすコツだといえるため2月は今年1年間美しい芝を維持するためのチャンス月でもある。