花のイメージ

庭も断舎利が必要なことがあります。





はじめに


 私の仕事は庭の設計や建物の設計です。 
設計士になったころは、建物のみを設計していましたが、趣味がガーデニングや家庭菜園だということもあり お客様とお庭の話をしていうちに、どんどん庭の設計に夢中になりました。

お客様の年齢の幅は広く、要望も様々です。
要望を聞いてそれを実現することはとても面白いです。 
自分の家の庭は一つですが、設計すれば何度でもにお客様と一緒に夢を見ることができます。 

 冬に引渡しを終えたおうちの前を夏に通りかかると、赤い実をつけたトマトや、大きい実をつけたピーマンなどが植えてあるのが見えた時や、お伝えした通りに芝生の手入れがしてあると、再び嬉しくなります。 

どの庭も何度も繰り返し打合せをして、納得がいく状態でお引渡ししたお庭です。 

 しかし最近私が生きている時間が長くなったからこそ、特に感じることがあります。



庭も断舎利が必要


 ミニマリストという言葉をよく聞くようになりました。 
物を最小限にして、本当に選ばれた好きなものだけに囲まれて暮らすことだと解釈しています。 
同時に断舎利という言葉もよく耳に聞くするようになりました。 
しかし、庭の断舎利は、物を捨てて下さいということではありません。 

 何度も繰り返し打合せをして、納得がいく状態でお引渡ししたお庭ですが、ある時に突然で姿を変えるときがあります。 
それは、住んでいる方がいろいろな理由でお庭の手入れができなくなってしまった時です。 
家は1年くらいでは、廃墟のようにはなりませんが、庭はひと夏挟めばまるで廃墟のようになります。 
多く樹木や花を多く植えてある凝ったお庭であればある程それが目立ちます。 

 私が、自分が生きている時間が長くなったかこそ特に感じるというのは、庭は年齢に応じて変化させなければならない、ということです。

だからと言って、庭を計画した時点でお世話ができなくなる何十年も後のことを考えて 最初から実現させたい庭の形を諦めることは必要ないと思います。 
なんの為のマイホームであり、なんの為の庭なのかわからなくなるからです。

庭は家とセットであり、庭を楽しむために家があり、家を楽しむために庭があると思います。 

だからこそ、庭は年齢に応じて断舎利して、変化させながら楽しむべきだと思います。



庭木は段階的に撤去する


 予想以上に大きくなった庭木、大きくなりそうな庭木は早めに小さく整えておく必要があります。 
人気の庭木の中には、とても成長が早く本来庭に植えるべきではないものが多くあります。 
記念樹も兼ねて植えた庭木には、思い入れがとても強く入りますが 予想以上に大きくなって、敷地外に大きくせり出したり、建物に被害があるような状態になる前に自分で剪定できる大きさくらいまでは常に整えておく方が良いと思います。

 高齢になってしまった時には、撤去するには大掛かりな作業が必要になってしまっていることが多いです。 

思い出が沢山ある木だが将来撤去が必要になることが明らかである場合は、一度抜根して枝を挿し芽にしてふたたび 苗木に戻してあげるのも良いと思います。

また長い間成長が楽しめます。

そして、明らかに不要だと思われる庭木の場合は、手入れをしている方が元気なうちに撤去を検討することが望ましいです。



これからお庭を造られる方


 庭木をシンボルツリーなどでプランに入れ込む際に、必ず確認していることがあります。 

木や花の世話が好きですか?手入れをする時間はありますか?ということです。 
木や花は手入れがとても大変ですし、手入れをしなくても綺麗を保てる植物はありません。

そういったことに殆ど興味のない方や、興味はあるのだけれども仕事などで時間がない方は、生垣の剪定ですら苦行になります。
毎年、年に数回お世話が必要ですし、プロにお願いする場合はそれなりの費用が必要になります。 

あまり興味がないのであれば、最初から生垣以外の方法で目隠しを検討したり、最初から庭木や草花を植えない方向でプランを検討された 方が良いかもしれません。 

シンボルツリーを計画される方は、どれくらい大きくなる木なのか担当の方とよく打合せをされて下さい。



まとめ


 私も数年前から2階の屋根ほどの高さになった庭木を撤去しなければならないと思いつつ、家を建てたときに苗木から育て、毎年家族と実を収穫していた思い出が多くある庭木であったために決断できずにいたところに、台風が直撃して「折れるのではないか」という怖い思いをしたことでやっと決断ができ撤去することができました。 

 段階的に撤去しているので、正確な数字はわかりませんが恐らく15本から20本くらいは撤去したかと思います。 
 主に成長が早いものを撤去しました。 

樹木の抜根方法-女性でもできるで、思考錯誤しながら抜根したことを書いていますので良かったらお読み下さい。 

 現在残してある樹木は、生長が遅いものと撤去してしまうと目隠しがなくなってしまうために必要であるものだけで、 それもすべて、高齢になっても脚立を使わずに手入れができる高さまで低くしました。 
是非いちどお庭を見渡して、10年後のことを想像して断舎利するべきものがないか確認してみて下さい。
 庭は年齢に応じて見直し、段階的に断舎利をしていくことが大切です。