芝生



 芝生を新しく植えたいと思った時に、芝生には色々な種類があり迷います。

どんな芝生があり、どんな特徴があるか知り、芝生を選ぶ時にそれが少しでも参考になれば良いなと思います。

夏の暑い日に窓をあけると芝生が広がる光景はとても良いものです。 
是非、自分の家にあった芝生を植えて下さい。


日本芝(高麗芝・姫高麗芝)


 一番一般的な芝生になります。 
ホームセンターで購入が可能で、一般家庭で芝を植えたいと思った場合は高麗芝を植えておいて間違いありません。

 高麗芝と姫高麗芝は日本芝の仲間になります。 
日本芝には、その他に野芝がありますが、一般的に公園などの公共の場所に植えてある場合が多いです。 
種から栽培を行い、発芽率がとても悪いために一般の家庭では殆ど扱いません。

 高麗芝と姫高麗芝の違いは、姫高麗芝の方が少し葉が柔らかくソフトな感じになりますが、基本的に扱い方は同じになります。 

この芝の一番のメリットは、メンテナンスのしやすさです。 
芝対応の除草剤が殆ど使用出来ますので、雑草対策もとても安易です。 
芝対応の除草剤が使えない種類になると、除草作業は手作業のみになりますので、それだけで作業量が増えます。 

 また、他の芝生に比べると圧倒的に病気に強いです。 
少々のダメージは目土を入れることにより自力で回復することができます。 

 デメリットとしては、気温が低くなると休眠状態になりますので、残念ながら冬は緑を楽しむことはできません。 
それを補うために、オーバーシーディング(高麗芝の上に寒冷地用の芝の種を蒔く)を行い、冬も緑を楽しむ方法がありますが、管理がとても難しい上に、再び高麗芝に切り替える時期に失敗するとどちらの芝の枯らしてしまったり、高麗芝と弱らせてしまったりします。 

 高麗芝を植えない方が良い場合は、ペットを飼っている場合です。 
小型犬や、中型犬くらいまでは問題ありませんが、大型犬のスパイクにはとても弱いです。 
養生期間がとても長くなってしまうために、養生で回復させる早さより大型犬の爪のスパイクのダメージの方が早いために、ペットを芝生で 遊ばせてあげたいと思っている方は他の芝を選んだ方が良いです。



洋芝(種から植えるタイプ)


 バミューダグラス、トールルフェスク、ケンタッキーブルーグラスなどがそれにあたります。 
また最初から色々な種がミックスされたものも販売されています。 

最大の魅力は冬でも緑と楽しむことができることだと思います。

 芝生として楽しむ他に高麗芝の上からオーバーシーディングとして使用したりもします。 
種を蒔くタイプの洋芝の感想は、とにかく難しいです。 
一面芽吹いた様子はとても美しく感動ものなのですが、それから人が立ち入ることができるまでの養生期間が長く、芝が傷むたびに追い蒔きと養生が必要になります。 
夏は病気に弱く消毒などの手間は他の芝よりも多いです。 

一通りの芝生は経験しましたが、手間が多く上級者向けだと思います。 
また、種の種類のよって県条例で栽培が禁止されている品種もありますので注意が必要です。




洋芝(ティフトン)


 洋芝の中でも苗を植えるタイプになります。 
ポットで販売されています。 

ホームセンターで販売されている場合もありますが、どこでも販売されているものではなく、多くはネット販売で購入することになります。 

 ティフトンは洋芝の一種ですが、洋芝の中では珍しく暖地用の芝です。 
とても優秀な芝ですが、寒冷地では栽培ができません。 

 ティフトンのすぐれているところは、その成長の早さと回復力です。 
1㎡あたりの対して5つほどの苗を植えるように推奨されますが、時間をかければもっと少ない数の苗で一面を覆うことができます。
早い時期に植えれば、わずかな苗数からその年のうちに一面の芝生を形成します。
そのためコストパフォーマンスはよく、一番安価で芝生を形成できます。

学校のグラウンドなどにも使用されているほど踏み圧にも強いためにペットを飼われている方は是非ティフトンがおすすめです。
少々の芝生のダメージはあっという間に回復してしまいます。
薄くなってしまったところは、目土を入れておけば次回芝刈をする時には、どこを補修したのかわからない程回復が早いです。

 ティフトンのデメリットは、高麗芝では使用できる除草剤のアージランが使用できません。
アージランは、イネ科の雑草を駆除することにすぐれた除草剤です。
そのためススメカタビラのような芝の中によくみかけるイネ科の雑草の場合、シバゲンDFを使用するか手作業での除草が必要になってきます。
また、高麗芝の感覚で芝刈を行うと、伸びすぎてしまいます。
1株が広がり芝生を形成することが早い分、成長が早いため芝刈の回数も高麗芝に比べると多くなります。





人工芝


 芝生はとても美しいもので、管理する時間さえあれば生きている芝をおすすめします。

しかし、特に7月8月のように、先週芝刈したのにもう伸びているという時期は管理が大変です。 
猛暑が続けば水やりも必要になりますし、病気の原因になったりもします。 
お仕事などが忙しく芝生に費やす時間がない方は人工芝がおすすめです。 

人工芝も品質が良くなっており年中芝生と変わらない緑を楽しむことができます。 しかも芝刈や水やりもいりません。

デメリットはメンテナンスがいらない分、定期的に張替えが必要になります。




まとめ


 私もお庭の設計をする際に、芝生の相談をよくうけます。 
必ずどの芝も管理はそれなりに大変であることを伝えます。 
そしてお引渡しの時に自作の芝カレンダーを渡してメンテナンスを細かく説明します。 
何もしなければ美しい芝生は維持できないことをしっかり理解して植えないと大変な思いをすることになります。

芝生を張れば芝刈り機などの道具も購入しなければなりませんし、それらの器具の手入れも必要になります。 
今週は面倒だから芝刈は休もうと思えば、いざ次回芝刈をしようと思った時には伸びすぎて軸刈になったりします。 

 私は幸い仕事でクレームを受けることは全くといって良いほど無いのですが、以前他の会社が受けた仕事の芝のメンテナンスで 呼ばれたことがあります。 
お客様の言い分は「芝を植えてもらったけれども、雑草が生えてきた。雑草の種が紛れた不良品を植えられたんだと思う」とのことでした。 
恐らく芝には雑草も生えてくるし芝刈も頻繁に必要だということをお伝えしなかったんだと思います。 
かなり極端なクレームだったので、未だに忘れることができず、とにかく芝は大変だ、ということをお伝えしています。 

 現在我が家の芝生は、高麗芝とティフトンです。
一通りの芝を試し、洋芝も色々な種を蒔いてみましたが現在はこの二つで落ち着いています。 
毎朝起きて部屋のカーテンをあけると一面に緑が広がっているのを目にするだけで幸せな気分になります。 

是非ご自宅にあった芝を楽しんで欲しいと思います。